百田尚樹による原作を映画化した『永遠の0』。
観客動員数は700万人を突破して邦画の歴代興行収入記録で6位にランクインするなど、戦争を題材にした歴史映画としては異例の大ヒットを記録しました。
賛否両論のストーリーも話題になったこの作品の魅力を解説します。
「宮部久蔵」を中心に戦争の時代を知る
大学生の佐伯健太郎(三浦春馬)は、フリーライターの姉・慶子(吹石一恵)の仕事の手伝いとして、自分たちの祖父・宮部久蔵(岡田准一)についての情報を調べることになります。
久蔵は旧日本軍の戦闘機パイロットで、太平洋戦争の際に26歳にして特攻で亡くなったのでした。
当時の久蔵を知る人々に話を聞いて回る健太郎と慶子でしたが、その話は「宮部は日本海軍一の臆病者だった」というものもあれば「自分は宮部さんに命を救われた」というものもあり、2人は祖父がどんな人物だったのか悩みを深めていきます。
さらに取材を進めるうちに、宮部久蔵がどんな人物だったのか、彼が生きた戦争の時代はどんなものだったのかが明らかになっていきます。
「妻と娘のもとへ生きて帰る」という信念
特攻隊の実情やその任務に従事した人々の心情を生々しく描いた映画『永遠の0』。小説版と合わせて、そのストーリーは大きな議論を巻き起こしました。
著名人からも、肯定・否定それぞれたくさんの感想が寄せられています。
「死にたくない」という感情が恥だとされた時代の中で「妻と娘のもとへ生きて帰る」という信念を貫こうとし続けた宮部久蔵。
彼が語る思いやそれに影響を受けていく周囲の人々の生き方は、何か訴えかけてくるものがあるはずです。
戦時中の風景や空母や戦闘機の描写など、ハリウッド顔負けの迫力を見せる映像面にも注目。
『ALWAYS 三丁目の夕日』などで映像の名手として知られる山崎貴監督のセンスと力量が存分に発揮されています。
特に後半の、特攻隊の悲惨な戦いを生々しく描く空戦のシーンはインパクトがあります。
戦争の悲惨さとその中で生きようとした人々の心
戦争を体験した人々の証言はとてつもない迫力・リアリティがあって、とにかくそのストーリーに圧倒されました。
観終わったあとは感動でも興奮でもない、言葉が出なくて呆然としてしまうくらいのインパクトが残りました。
エンドロールを見ながら少しずつ気持ちが落ち着いてくると、主人公・宮部久蔵の思いや彼と関わった人々の心情、そしてそれを語られる健太郎の考えの変化が思い出されて、じわじわと感動をはこんできました。
賛否両論のあったこの映画ですが、戦争の悲惨さとその中で生きようとした人々の心を鮮明に描いた傑作だと個人的には思います。
観終わったあともいつまでも記憶に残り続けるような作品でした。
最後に
戦争があった時代の雰囲気を生々しく描写した『永遠の0』。
真に迫って語られるストーリーや特攻隊員たちの表情をリアルにとらえた戦闘シーンは、何かしらの感情を観る人に呼び起こさせること間違いなしです。
是非自分の目でこの作品を観て、どんな気持ちが芽生えるか確かめてみてください。