「ロスト・エモーション」は近未来ディストピアSFの王道作品

ロスト・エモーション


人間が徹底的に管理された社会生活を送る」という近未来が描かれる、いわゆる「ディストピアもの」と呼ばれる作品。SF映画の中でもひとつの定番ジャンルですね。

『ロスト・エモーション』は、そんなディストピアSFの王道をいく作品です。

印象的な背景や色合いの映像と、繊細で緻密なストーリーや人間ドラマが展開されていきます。

エンタメ作品とアート作品、両方の一面を併せ持つこの映画の魅力を紹介します。

 

「ロスト・エモーション」ってこんな話

世界大戦でほとんどの人類が消滅してしまった近未来。

生き残ったわずかな人類は、二度と争いを起こさないために争いの原因である「感情」を遺伝子操作で封印してしまいます。

それ以来人々は「イコールズ」と呼ばれる社会共同体の中でロボットのように淡々と暮らしていました。

しかし、ある日サイラス(ニコラス・ホルト)は職場の同僚ニア(クリステン・スチュワート)に対して恋愛感情を覚え、お互いを想いあう関係になってしまうのでした。

もしも感情を「発症」したら安楽死させられてしまうイコールズを脱出するため、二人は奔走していきます。

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ほとんどのロケが日本で行われていた!

近未来の管理社会らしく、徹底的に「白」で統一された世界観が印象的です。

何もかもが白くデザインされたイコールズの街並みや全体的に白めのフィルターがかけられた映像は、病的なまでに管理された清潔感を演出しています。

ほとんどのロケが日本で行われたのも注目ポイントです。

作中で登場する建物の多くが世界的建築家の安藤忠雄の作品で、ひんやりとして洗練された空気感が漂っています。

主演は若手イケメン俳優として人気のニコラス・ホルトと『トワイライト』シリーズで有名なクリステン・スチュワートが務めました。

どちらかというとアイドル俳優的な人気が高かった二人ですが、繊細な演技で俳優としての実力の高さを見せてくれています。

 

近未来版「ロミオとジュリエット」とも呼べるような感動のストーリー

派手さはない作品ですが、徹底された世界観作りとガラスのように繊細なストーリー描写が印象的で惹きこまれました。

サイラスとニアが過酷な運命や社会に立ち向かいながら結ばれようと頑張る様子は、近未来版「ロミオとジュリエット」とも呼べるような感動のストーリーでした。

独創的な演出といい意味で「ベタな」未来社会の表現がうまく入り混じったイコールズの描写は、この手のSF映画好きにはたまらない世界観だと思います。

安藤忠雄のデザインした建物が使用されている背景も印象的で、どのシーンがどこで撮影されたのか調べながら観るのも面白いと思いました。

 

最後に

日本ではあまり注目されなかった作品ですが、SF好きやラブストーリー好き、主演2人のファンの人など、多くの人におすすめしたい隠れた良作です。

特にSF映画ファンにとっては大満足の一作ではないでしょうか。

冷たい世界の中で静かに熱を持っていく男女の切ない物語には、感動で泣かされること間違いなしです。

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