映画批評

【批評】「アイアムアヒーロー」は邦画ゾンビ界の革命

投稿日:2018年9月24日 更新日:

アイアムヒーロー

大泉洋の主演で公開されたゾンビ映画「アイアムアヒーロー」は、邦画ゾンビ作品において「革命」と呼べるような超傑作です。

ハリウッド顔負けのド派手なアクション、そして「ゾンビ映画」の名に恥じない超過激なゴア描写、そして邦画ならではの「いかにも日本」なリアルなストーリー。

あらゆる要素が完璧に混ざり合って、邦画ホラーの歴史、そして世界のゾンビ映画の歴史に刻まれるようなハイクオリティな一作に仕上がっています。

何故この作品がそれほどの傑作なのか、その魅力を解説しながら評していきます。

 

人気コミック原作の本格パニックホラー

「アイアムアヒーロー」は、花沢健吾による漫画作品を実写映画化した作品です。

主人公はアシスタント業で生計を立てながら連載を目指す売れない漫画家・鈴木英雄(大泉洋)。

映画の序盤では、編集者からもアシスタント仲間からも相手にされず、恋人からも「いい加減に現実を見て」と言われ続ける彼の冴えない日常が描かれます。

 

そしてある日、そんな日常描写から一転して、ウイルス感染で狂暴化した人々が他の人間に噛みつき、さらに感染者が増えていくというパンデミックが発生します。

それまでの退屈な日々は崩壊して、いつ死ぬかも分からない過激で残酷なサバイバルがくり広げられます。

平和な日々の中に「全国で噛みつき事件多発」といった不穏な前兆が紛れ込み、日常と非日常のバランスがあるとき決壊して一気に社会が崩壊していく……そんな、邦画としては珍しい本格的なパニックホラー大作です。

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日本初のゾンビアクション大作

それまでゾンビ映画といえば、世の中では「低予算のB級ホラー」という認識が強かったのではないでしょうか。

ハリウッドなどでは大作クラスのゾンビ映画も増えてきましたが、日本ではまだまだマニア向けのB級色が強かったり、B級を逆手にとったコメディ要素が強かったりする作品が多かったように思えます。

そんな中で「アイアムアヒーロー」は、日本初のゾンビアクション大作となりました。

大都市の中心でゾンビの大群が暴れまわるスペクタクルシーン、車がクラッシュする派手なアクションシーン、そして終盤のアウトレットモールでの決戦……どのシーンもハリウッドにも引けをとらない迫力で、もはや「B級ホラー」としてのチープさは感じさせません。

「ワールド・ウォーZ」や「バイオハザード」、「ドーン・オブ・ザ・デッド」といった海外の大作ゾンビ映画が好きな人でも大満足できる、日本が世界に誇れるゾンビパニック映画となっています。

 

その一方で、文明が崩壊していく中でも主人公の英雄がやたらとルールやマナーを守ろうとしたり、裏では腹黒いことをしながらも表向きは礼儀正しい生存者グループが登場したりと、「もし日本でゾンビ感染が起こったら」という設定を上手く活かした、妙にリアリティを感じられる描写が多いのも特徴です。

生前の言動を無意識にくり返すゾンビたちが「いつもお世話になってます~」や「いらっしゃいませ~」などと言いながら襲いかかってきたりと、「日本人あるある」なゾンビの描写にも思わず笑いが出てしまいます。

まさに「日本が舞台の、日本人による日本人のためのゾンビアクションホラー」と言えるのではないでしょうか。

 

グロテスクなホラー映画としても超一流

邦画としては異例のホラー大作となった「アイアムアヒーロー」ですが、こういった大作は集客のために残酷描写などを控えめにすることが多い中、この作品は「R15+」レベルの容赦ないグロテスクシーンがてんこ盛りとなっています。

人間が生きたまま食いちぎられ、ゾンビの頭が銃撃で弾け飛び、膨大な量の血肉が飛び散る……そんなゴア描写の連続で、ゾンビホラーとして一切の妥協がない仕上がりです。

ハリウッドのゾンビ大作と比べても、むしろこの「アイアムヒーロー」の方がグロテスクなホラー映画として過激で挑戦的な作風になっています。

原作漫画も相当グロテスクなシーンが多い作品ですが、映画もその残酷で殺伐とした世界観をしっかりと表現していて、「興行収入のために表現を妥協しない」「原作の見どころをしっかり再現する」といった製作陣の意気込みがうかがえます。

「ゾンビ映画」ということでショッキングな描写を期待している人にとっても、間違いなく納得のいく完成度です。

 

最後に

大作になるほどキャストや描写の面で制約が多くなる邦画界において、大規模な製作費が投入されながら「ゾンビホラー」というコアな作風を実現させた「アイアムアヒーロー」は、まさに革命的な一作です。

ホラーファンやアクションファン、そしてメインキャストの大泉洋や有村架純、長澤まさみのファンまで、誰もが大満足できる面白さのエンタメ大作に仕上がっています。

グロテスクなホラー映画でも、人気の原作と実力派キャスト、そしてしっかりしたストーリーと映像を揃えれば、十分な注目を集めてヒットを飛ばせると証明したこの作品は、邦画ホラー・アクション界で大きな役割を果たしたのではないでしょうか。

日本初といってもいい本格ゾンビアクション映画の「アイアムアヒーロー」、ゾンビ映画が好きな人は、一度は観るべき傑作です。

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高栁晨太郎

高栁晨太郎

映画と音楽が好きなWebライターです。 主に洋画のアクション、SF、パニック、ホラーなんかを中心に観ています。 ブログもやってます→怠惰ウォンテッド( http://www.taida-wanted.com/) Twitterはこちら→ https://twitter.com/ashita_movie

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