繰り返される日常の中で、未来は永遠に続いていくと思いがちです。
それが突然覆されてしまったら、あなたはどうしますか?
『死ぬまでにしたい10』のことは、癌を患い余命宣告を受けた若い母親が主人公の映画です。
残された時間を、彼女は精一杯生きぬきます。
命の可能性と家族への愛が感じられる作品です。
命を使って叶えたい願い
若くして母親になったアンは、幼い娘2人と夫の家族4人で暮らしています。
夫が失業中のため、アンが家族の暮らしを支えていました。
貧しい生活ではありましたが家族の仲は良く、それなりに幸せな毎日です。
そんな彼女を襲った突然の腹痛。病院で検査を受けると、癌を患っていることが分かりました。
余命宣告を受けた彼女が始めにしたことは、「死ぬまでにしたい10のこと」のリストアップです。
癌のことも、リストのことも、家族には内緒のまま。残された命を使って、ひとつずつリストをクリアして行きます。
そして最後に、家族の幸せを心から願いながらアンは眠りにつくのでした。
限られた時間の中でこそ、本物が見つかる
カナダ・スペイン合作の映画です。カナダのバンクーバーが舞台となっています。
生と死がテーマの作品ですが、いわゆる「お涙頂戴」の大げさなドラマはありません。
どこか哲学的な雰囲気が漂うなかで、真剣に命と向き合う主人公の姿が見られます。
人はどうしても何か成し遂げたいと思っていることがあっても、後で後でと先延ばしにしてしまうことが多いと思います。
後でやるという選択を強制的に奪われてしまったアンですが、それからの行動力が凄いです。
悲嘆に暮れる暇もなく、やり残したことのリストアップを始めます。命が限られているという極限状態にあるからこそ、本当に自分の願っていることが見えてくるのですね。
道徳的に疑問が持たれる事柄も、迷い無くしっかりやり遂げます。常識や世間体なんて全く気にしないようです。
それでもアンのことが悪者に見えないのは、裏表のない純粋な気持ちがあるからだと思います。
そして何よりも、なんだかんだで家族の幸せを1番に願っているからです。
ラストシーンの彼女からは、自分が犠牲になることも厭わない大きな家族愛が感じられました。
最後に
自分の人生で、やり遂げたいことは何なのか。1番大切なことは何なのか。
そんなことを考えるきっかけになるような作品です。
誰でも、与えられた時間は限られています。そのことに気付けたら、心の中にある本当の願いが見つかるかもしれません。