映画考察

【考察】演技の素晴らしさが光る、映画「万引家族」

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万引家族

2018年6月に全国で公開された、是枝裕和監督の「万引家族」。

そのショッキングな題名や俳優陣の豪華さなどから、公開前から話題を呼んでいた作品です。

この作品は、第71回カンヌ国際映画祭においては最高賞であるパルム・ドールを獲得しています。

ここでは、この「万引家族」のあらすじや見所などについてご紹介したいと思います。

 

現代日本の闇を描いた「万引家族」のあらすじ

物語は家族として同居する六人を中心に進んでいきます。

日雇い労働者の柴田治と、その妻でありクリーニング屋で働く信代。その二人の息子として暮らす祥太。そして、JKリフレ店で働く亜紀とその祖母である初枝は、それぞれ他人でありながらも「家族」として同居していました。

表向き独居住まいとしている初枝の家での、五人の主な生計は「万引き」。生活で足りないものは、治と祥太が万引きしてくるという暮らしを続けていました。

犯罪をとおしてつながっているにもかかわらず、家族は毎日笑顔の絶えない暮らしを送っていたのです。

 

そんなある日、治と祥太は真冬にもかかわらず薄着で家の外に追い出されている女の子を見つけます。

家の中からは夫婦喧嘩の声と人を殴るような音が聞こえたため、治は女の子を保護するつもりで家に連れ帰ってしまいます。

 

ゆりと名乗るその女の子は身体に虐待の跡が残っており、笑顔も浮かべないような状態。そんなゆりを五人は放っておけず、祥太の妹として一緒に暮らすようになります。

六人家族として時間を過ごすうちに、ゆりは徐々に笑顔を取り戻し、他の五人も彼女を家族として愛すようになっていくのです。

 

しかし、彼ら六人家族の実態が世間に明るみになったとき、この家族はバラバラになっていきます。

それぞれの家族が抱えていた過去、そしてこの家族が社会に断罪されたとき、どのような結末を選んでいくのかが見所となった物語となっています。

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俳優陣の演技が評判

この映画の最も魅力的なところは、出演する俳優の演技力にあるといえます。

主人公の一人、治を演じるのはリリー・フランキー。万引きを子供に教え、車上荒らしなども平気で行ない、保身のために「息子」だと言っていた祥太も見捨てるような人間。

しかし、そんな人物でありながら、それと反するような愛情深さも描かれる治。そんな難しい役どころを、違和感なくリリー・フランキーが演じています。

また、誰もが認める実力派、樹木希林の演技なども見所です。

 

どの人物も、決して「善人」ではなく、人としての道理に外れた行為をしているにもかかわらず、どこか憎めない人物として演じられるのは、俳優陣の演技力あってのものでしょう。

また、祥太を演じた11歳の城桧吏、ゆりを演じた7歳の佐々木みゆの二人の子役の演技も高い評価を得ています。

演技とは思えないような細やかな感情の揺れや、泣くシーンなどを見事に演じきった子役にも注目してみたい作品です。

 

現代社会の闇を問うた作品

この作品では、様々な問題にスポットが当てられています。

万引きや虐待、ネグレクト、風俗、日雇労働、マスコミによる過剰な報道、世論の冷たさ、そして死体遺棄や殺人。現代日本で問題とされている闇の部分を、「万引家族」で登場する人物たちは背負っています。

現代日本では、犯罪を犯した人に対して非常に冷たい世論が一般的ですが、それに対する批判も作中ではなされています

 

たとえば、ゆりの実の両親が虐待をしていたと報道された際は、ニュースでは両親を悪く言っていたにもかかわらず、治たちの存在が明るみに出たや否や、報道は手のひらを返して両親を持ち上げて治たちを悪人とののしるようになります。

しかし、当の本人のゆりは笑顔を浮かべていたのは治たちといたときだけで、両親たちといたときにはおびえた様子しか描かれません。

バラバラになった治たちには、それぞれ全うな道へと戻れそうな展望が描かれるのに対し、ゆりはネグレクトと虐待の危険へと戻っただけ、という結末も鑑賞者に余韻を残させるものとなっています。

犯罪を否定しながらも、そこに隠れる人々の心のあり方や環境、犯罪として認知されない悪などがフォーカスされた作品だと思います。

 

最後に

「万引家族」は、複雑な問題が描かれている分、治たち家族の行動やその別れに感動できる人、できない人が出てくる作品だと思います。

また、映画の解釈もそれぞれの問題に鑑賞者がどのような考えを持っているのかで大きく異なってくるのです。

友だちや家族と見て、感想の違いを楽しんで観るのもこの映画の楽しみ方だと思います。

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