人気ドラマ、ハコヅメ キャストでもある戸田恵梨香さんと、永野芽郁さんが共演を果たした映画『母性』。ホラーのような、サスペンスのような、母と娘の関係性を描いた物語です。母性という美しい言葉がタイトルになっていますが、本作はその「母性」が持つ負の側面が生々しく描かれています。母性…母から子への愛情を表す言葉ですが、そこに「子どもがどう感じるか」は含まれておらず、まさに一方通行の思い。あなたの母には、母性がありましたか?それはどんな形であなたを愛し、そしてあなたはその母性を、どんなふうに受け取ってきたのでしょうか?そんな自分の過去を振り返る機会にも、なるかもしれません。
気になるあらすじと、豪華キャストを見ていきましょう。
もう見た?『母性』実写映画
注目の母性 キャスト陣をご紹介
- 戸田恵梨香:田所ルミ子役
- 永野芽郁:ルミ子の娘・清佳役
- 三浦誠己:ルミ子の夫・田所哲史役
- 中村ゆり:佐々木仁美役
- 山下リオ:田所律子役
とある母と娘の物語
ある女子高生が転落死する事件が発生するところから、物語は始まります。その原因を探っていた清佳は、次第に自分の過去へと思いを巡らせるように。清佳は、自分の母親から愛情を感じない人生を送ってきていました。母親・ルミ子は、自身の母親から受けてきた無償の愛を、そのまま清佳に注いできたと語ります。両者の記憶がここまで食い違っているのは何故なのか?母はどのように娘を愛し、そして娘はその愛を、どのような形で受け止めていたのか…1組の母娘が繰り広げる、「母性」についての物語です。
「母性」とは何かを問う作品に
この作品の中では、「母性」という漠然とした思いが徹底的に描かれています。母性というと、母が子を思う幸せな光景が目に浮かぶ…という人も多いのではないでしょうか。しかし、本作で描かれている母性は、私たちが想像しうるそれとはかけ離れた…いや、私たちの思う母性が歪みに歪んで、呪いのようになってしまった形が描写されているのです。
母にとっての母性と、娘が受けた母性
劇中で、戸田恵梨香さん演じるルミ子は「母から受けた愛情を、そのまま娘の清佳に注いできました」と神父に告白する場面があります。しかし、ルミ子の中に「母性」は芽生えていませんでした。ルミ子の中にあったのは、その無償の愛を注ぎ続けてくれた自身の母への執着心だけ。それは母が子を思う母性ではなかったのです。
清佳にとっての祖母、ルミ子にとっての実母は亡くなっていますが、その真実にたどり着いたとき、清佳はルミ子に首を絞められてしまいます。しかし、ルミ子からの視点では、しっかりと清佳を抱きしめているのです。一体どちらが真実なのか…最後まで明らかにならなかったそのシーンは、本作で最も印象に残る場面といっても過言ではないでしょう。
見る人によって印象が全く違う不思議な作品
『母性』は、見る人によって感情移入する登場人物も違えば、母性という感情をどのように捉えるかも違ってくる、まさに不思議な感覚を心に残す作品となっています。実際に子どもがいて、溢れんばかりの母性が芽生えている人が見れば、ルミ子の心情が理解できるかもしれません。が、それは本当にルミ子のもつ母性に共感しているのでしょうか?ルミ子の中に会ったのは、いつまでも”自分の母に愛されたい”という思い。ルミ子は、いつまでも”娘”なのです。最愛の母に愛され続けるために、清佳を産み、大切に大切に育ててきました。それゆえ、時に母親に首を絞められた記憶まで存在してしまう、清佳の心の中。母であるか、その前に娘であるか…そして、母に愛された娘であるか、そうでない娘であるか…そんな十人十色の家庭環境でも、この映画に対する印象は違ってくるでしょう。
まとめ
湊かなえさんが、「これが書けたら作家を辞めてもよい」とまで語った最高傑作『母性』。原作では、2組の母娘が登場し、それぞれが抱く「母性」を描いています。その中の1組の母娘に密着した実写映画は、母性 キャストの表現力も相まって、より臨場感たっぷりに、母性の行方が描かれていますよ。