Netflix公開映画「レベッカ」の評価は?ヒッチコック版との違いは?

Netflix公開映画「レベッカ」の評価は?ヒッチコック版との違いは?


2020年にNetflixで配信された映画「レベッカ」は、イギリス人作家ダフネ・デュ・モーリアによる同名小説を基にした心理サスペンスです。

これまでに何度か映画化されてきましたが、最も有名なのは1940年のアルフレッド・ヒッチコック監督による「レベッカ」で、第13回アカデミー賞では作品賞と撮影賞を受賞し、数々の賞を総なめにする傑作とされています。

この記事では2020年公開のリメイク版「レベッカ」のあらすじをご紹介し、1940年のヒッチコック版と比較していきます。

映画「レベッカ」の大筋

本作はゴシック・ロマン小説「レベッカ」を基に、ブリー・ラーソン主演の「フリー・ファイヤー」(2016年)やトム・ヒドルストン主演の「ハイ・ライズ」(2015年)、「キル・リスト」(2011年)などの作品を手がけたベン・ウィートリー監督がこの度新たな解釈を加えてリメイクしました。

主人公の「私」は、実写映画「シンデレラ」(2015年)や「ベイビー・ドライバー」(2017年)のリリー・ジェームズが演じ、傷心の富豪マキシム・ド・ウィンターには「ソーシャルネットワーク」(2010年)や「君の名前で僕を呼んで」(2017年)で大活躍したアーミー・ハマー。

また物語のキーパーソンとなる家政婦のダンヴァース夫人は、「イングリッシュ・ペイシェント」(1996年)や「フォーウェディングズ」(1994年)などの実力派女優クリスティン・スコット・トーマスが演じています。

映画「レベッカ」のあらすじ

親を亡くし、世間知らずな「私」は、ヴァン・ホッパー夫人の付き添いとして雇われ、南フランスのモンテ・カルロに滞在してる時に、偶然イギリスの大富豪マキシム・ド・ウィンターと出会います。

ド・ウィンター氏に惹かれる「私」ですが、彼は妻レベッカを不慮の事故で亡くし、傷心の旅をしている途中だとの噂を耳にします。

やがて二人は恋に落ち、ついに結婚をすることとなった「私」。

新妻として海沿いの大邸宅マンダレーにやって来ますが、そこでは美しく洗練されていた前妻レベッカの影が色濃く残っていました。

レベッカを慕っていた家政婦のダンヴァース夫人に陰湿な対応をされ、ド・ウィンター氏が時折見せる陰鬱な表情に不安を覚える「私」は、やがて死んだはずのレベッカの亡霊に追い詰められていくのです。

映画「レベッカ」のヒッチコック版とウィートリー版の違いは?

世間では、巨匠ヒッチコックの映画をリメイクすることに多少の反感はあったものの、本作のウィートリー版もオリジナルとは違った良さがあると言えます。

ヒッチコック版は白黒ということもあり、全体的に雰囲気がだいぶ暗めです。

またさすが「サスペンスの神様」との名も持つヒッチコック監督、彼の描く「レベッカ」は、登場人物の心情を細やかに映し出し、精神的に追い詰められる「私」の苦悩や死んだ前妻の亡霊がつきまとう呪われた屋敷、そしてさらに不気味なダンヴァース夫人を前面に出した、上質なサイコスリラーに仕上げています。

対して2020年のウィートリー版では、スリラー要素よりも主人公の「私」が、純粋で世間知らずな娘から愛する人を守るために強い女性に成長する変貌ぶりをより強調しているように思えます。

原作でも二つの映画でも、主人公の名前が最後まで登場しません。これは、レベッカの影に脅かされる彼女の自我の弱さや主張が激しくない性質を表していると考えられています。

しかし、それでもリリー・ジェームズ演じる2020年版の「私」の方が、物語が進むにつれて積極的になり、最後にはレベッカの存在を乗り越え「ミセス・ド・ウィンター」という女性になりきる、という少し現代らしい展開になっています。

ウィートリー版の主人公二人の情熱的な恋愛はクラシック映画を思わせるおしゃれさがあり、また屋敷に戻ってからのレベッカの影につきまとわれ、追い詰められていく過程ではヒッチコック版ほどではないものの、サスペンス要素も入れた丁寧な映画になっています。

また、映画全体的にカラフルで、衣装や屋敷の中の小物、車など細やかなところまでの演出が目を奪われるスタイリッシュな映像を映し出しています。

ですから、オリジナルのヒッチコック版の不気味さやスリラーが好きだった方にはウィートリー版は少し物足りないかもしれませんが、スリラーやホラーものが苦手な方や時代物のロマンス映画が好きな方には2020年のウィートリー版がとても見やすく、おすすめです。

最後に

2020年にNetflixで公開された映画「レベッカ」をご紹介しました。

1940年のヒッチコック版と2020年のウィートリー版、それぞれの見どころがあるので、原作も合わせて見比べてみるのもいいかもしれません。