未知のエイリアンが人々を襲うホラー映画「エイリアン」シリーズ。
その第一作目で1979年に公開された「エイリアン」は、SFホラーの世界に革命をもたらした、金字塔的な作品として知られています。
では、なぜこの「エイリアン」は、金字塔になったのでしょうか?
今回は、この作品が具体的にどんな影響をSF映画界に与えてきたのか、その内容を考察していきます。
「閉鎖空間でのサバイバル」というSFホラーストーリーの基本形
「エイリアン」のストーリーはシンプルで、「宇宙船内に入り込んだエイリアンが、クルーたちを襲っていく」というものです。
「登場人物がモンスターによって一人また一人と犠牲になっていく」という展開は、この手のホラー映画ではおなじみですよね。
そんなステレオタイプなストーリーをSFホラーの世界に初めてもたらしたのが、この「エイリアン」という作品です。
さらに、物語の舞台は「宇宙船の中」という逃げ場のない閉鎖空間で、だからこそ、未知のモンスターの存在がより際立ちます。
「閉鎖空間で、化け物に一人ずつ襲われながらも立ち向かう」というサバイバルストーリーの基礎を作り上げたエイリアンは、まさに「SFホラー」というジャンルの金字塔と言えるのではないでしょうか。
グロテスクでインパクトのあるエイリアンの存在
「エイリアン」シリーズといえば、登場するエイリアンそのものの存在も印象的ですよね。
スイス出身の有名なデザイナーH・R・ギーガーがデザインしたこのエイリアンは、トカゲの骨格のような体、長い頭、目がなく歯を剥き出しにした顔など、一目見ただけで強烈に印象に残るビジュアルをしています。
そんなグロテスクなエイリアンが宇宙船の中をヌルヌルと移動して襲ってくる展開は、観た人にじんわりと背筋が凍るような恐怖を与えてきました。
この「エイリアン」のビジュアルそのものも、SF映画の世界に大きな影響を与えています。
様々なSF映画に登場するモンスターに、このエイリアンの要素を感じたことがある人も多いのではないでしょうか。
そして、そんなエイリアンが宇宙船内をヌルヌルと動いて襲ってくる展開も、「モンスターが人間を襲う」というシーンの描写のステレオタイプになってきました。
今に至るまで、SFホラー、モンスターホラーの映像面には「エイリアン」の影響が働いています。
敵を「見せない」ことによる恐怖演出の徹底
そんなインパクト抜群のエイリアンですが、第一作目「エイリアン」では、その姿は意外にもほとんどはっきり映りません。
そうやって敵を「見せない」ことが、かえって観客の想像力に働きかけて、エイリアンの存在をよりミステリアスで得体の知れない、不気味なものにしています。
この、後半まであえてモンスターの姿を「見せない」という演出は、SF映画、モンスターパニック映画の定番の表現として今でも使われています。
また、この手法はCGなどでモンスターを描写する時間が少なくて済むので、B級映画の世界では「映像の製作費を抑えながら緊張感を生み出せる手法」としても利用されています。
モンスターの表現手法を広げた「エイリアン」の演出テクニックは、SF映画界に絶大な影響をもたらしたと言っていいでしょう。
最後に
以上、「エイリアン」がSF映画やモンスター映画の世界に与えた大きな影響を、具体的に3つ紹介しました。
他にも、SFチックな撮影セット、「アンドロイド」や「AI」といった未来的な要素など、この作品が後世の作品に与えた影響はたくさんあります。
「エイリアン」を見てから80年代以降のSF映画、モンスター映画を見てみると、「あ、このシーンはエイリアンの影響かな」と思われるようなシーンがいくつも見つかると思います。
そんな、SFホラー映画の金字塔「エイリアン」は、ホラーやSF、パニック映画のファンなら一度は見てみることをおすすめします。
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