【考察】なぜ「火山パニック映画」はいまいち人気がないのか

【考察】なぜ「火山パニック映画」はいまいち人気がないのか


地震、津波、竜巻……これまでパニック映画の中では、様々な災害が描かれてきました。

しかし、その中でも「火山噴火」を描いた作品は、ややマイナーなジャンルとして扱われています。

では、なぜ数ある災害パニック映画の中でも「火山パニック」はいまいち知られていないのか。その理由を考察していきましょう。

 

どんな映画がある?「火山パニック映画」の代表作

ボルケーノ(1997)

ボルケーノ

1997年に公開された「ボルケーノ」は、火山パニック映画の中でも一番有名な作品ではないでしょうか。

「ロサンゼルスのど真ん中に新しい活火山が発生する」というとんでもないストーリーが描かれるこの作品は、日本でもCMなどでおなじみのハリウッド俳優トミー・リー・ジョーンズの主演でスマッシュヒットしました。

科学考証的なツッコミどころも多いものの、ド派手な王道パニック映画として広く知られる名作です。

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ダンテズ・ピーク(1997)

Dante's Peak

「ボルケーノ」と同じく1997年に公開された「ダンテズ・ピーク」も、火山パニックの代表作として知られています。

田舎町が火山噴火で大パニックに陥る様が、迫力のCGや壮大なセットで描かれて話題になりました。

主演は5代目ジェームズ・ボンド俳優として知られるピアーズ・ブロスナンで、他にも「ターミネーター」シリーズで知られるリンダ・ハミルトンなども出演しています。

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ポンペイ(2014)

ポンペイ

火山が巻き起こした歴史上の出来事として有名なのが、古代ローマの都市ポンペイが、一夜にして火山噴火に飲み込まれてしまった事件ですよね。

そこに壮大な歴史ラブロマンスを盛り込んだのが、2014年公開の「ポンペイ」です。

まるで「グラディエーター」のような歴史ドラマと迫力の戦いに合わせて、「タイタニック」のような身分差のある男女の悲恋が描かれます

ヒューマンドラマとしてはやや薄味で、どちらかというと「ド派手な映像で楽しませる」路線のアクションエンタメ作品です。

 

 

その他「火山噴火」のシーンがある作品

「火山」だけがテーマのパニック映画以外にも、「2012」や「日本沈没」など、火山噴火が描かれるパニック映画は多数あります。

ですが、あくまで「いくつも巻き起こる災害のひとつ」という位置づけになっている作品が多く、なかなか「火山噴火がメイン」という映画はありません。

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なぜ「火山パニック映画」はマイナー?

映像的な「爽快感」が薄い

火山パニック映画がいまいちマイナーな理由のひとつとして、「映像的に地味」という点が挙げられるでしょう。

ものすごい勢いで街を押し流す津波や、あらゆるものを巻き上げていく竜巻、地形ごと街を破壊する地震と違い、溶岩がドロドロと迫ってくる火山噴火は、パニック映画としての爽快感に欠けます

「ふつうなら観られないド派手な破壊描写」もパニック映画の魅力のひとつなので、その点で火山パニック映画は不利です。

 

さらに、こういった災害パニック映画はあくまで「迫力のある破壊」が見どころなので、その裏にある犠牲者などの描写は省略されて、あっさりと後味よく仕上げられることが多くなっています。

一方で、火山噴火では「灼熱の溶岩や火砕流による焼死」という、後味がいいとは言い難いシーンがどうしても発生します。

実際に、先ほど紹介した「ボルケーノ」でも、人々が断末魔の叫びをあげて溶岩に沈んでいく……という恐ろしい描写がありました。

このような「爽快感が薄い」という火山パニック映画のデメリットが、ジャンルの広がりを阻んでいるのではないでしょうか。

 

災害として身近じゃない?

また、単純に災害として「火山による被害」が身近でないことも、火山パニック映画がピンとこない要因かもしれません。

地震や竜巻・台風、津波による被害は、ほぼ毎年世界のどこかで聞きますね。

日本でも、時には大規模な災害が発生して報じられ、他にも小さな被害は毎年のように発生しています。

避けようがないからこそ、日常と密接に関わっている災害と言えるでしょう。

 

一方で、「火山災害」の被害を受ける地域は、他の災害に比べて限定的です。

広範囲に及ぶ大噴火も、数十年~数百年に一度、下手をすれば数千年に一度などめったにありません。

そんな事情もあって、「火山噴火が大パニックを巻き起こす様子」というのは、自分にも起こり得るものとしてはいまいち想像しづらいのではないでしょうか。

自分にも起こるかもしれない災害をテーマにした作品と、あまり聞かない災害をテーマにした作品では、前者の方に興味を惹かれて、手に取るような気もします。

火山パニック映画が少ない裏には、そんな理由もあるのかもしれませんね。

 

最後に

「映像的な派手さが控えめで爽快感がない」「リアルな被害を想像しづらい」という理由から、どうしても他の災害パニック映画より地味な存在になってきた「火山パニック映画」。

ですが、じりじりと身を焦がすような危険が迫ってくる緊張感からは、ド直球で派手なパニック映画とはまた違った恐ろしさを感じられます

あまり作品数が多いジャンルではありませんが、変わり種の災害パニック映画が観たいときは、是非手に取ってみてください。